事業活動紹介

環境保全

トキを指標種とした生物多様性保全 〜トキと人との共生をめざして〜

 トキ(Nipponia nippon)は、昔は世界の多くの場所で姿を見ることができました。トキがかつて暮らしていた場所で再び羽ばたく姿を見ることを目指して、環境文化創造研究所ではトキの野生復帰事業等に参加し、生態の調査・研究や生息地環境の再生に向けて特に各地方自治体の地域づくり計画や生き物を育む農法を活かした循環型農業のしくみ作りに協力し学会やシンポジウムでの講演・執筆活動をしています。


トキとは

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絶滅

 トキは20世紀初頭には、日本列島、ロシア極東地域、朝鮮半島、中国の東北、華北、西北、東南及び台湾に分布した、ごく一般的な鳥でした。しかし、1950年代以降、乱獲や環境の変化に伴って激減してしまいました。1980年代初期にはロシア、朝鮮半島、日本列島の自然から相次いで姿を消しました。

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中国での再発見

 中国では、絶滅宣言しようとした1981年に、秦嶺山脈南側に位置する洋県で7羽の野生トキを発見し、世界の注目を集めました。それ以来、この絶滅寸前のトキ種を保存するために、地元では行政主導、住民参加の保護体制を構築して保護活動を展開し始めました。

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世界の保護活動

《中国:トキの営巣環境保護》
 再発見後の中国では、地域住民に環境教育を通じた“トキ保護に関する認識”を高めて、直接的或いは間接的に保護活動に参加してもらいました。さらに地域住民の協力の下でトキ営巣地周辺の水田では農薬や化学肥料の使用をやめ、トキの餌場を確保し、トキが営巣やねぐらに利用される樹林では伐採禁止の対策を講じてトキの営巣環境を守ることができました。このようにトキを再び発見してから30余年の保護活動によってトキの個体群が徐々に拡大して来ました。

《日本:生きものを育む農業技術》
 新潟県佐渡市では、トキ野生復帰事業がおこなわれています。2012年には自然下で誕生したトキヒナが巣立ちました。
 トキ放鳥に向けた餌場不足の課題がありましたが、生きものを育む農業技術で栽培した米を認証する、「朱鷺と暮らす郷づくり認証制度」を設立しました。このような取り組みが認められ日本で初めて世界農業遺産に登録され、観光振興にも期待されています。

《韓国》
 2013年2月末現在、中国洋県での野生トキ個体数が奇跡に1000羽を突破し、トキの絶滅危機が一段と緩和されました。一方、中国陝西省寧陝県寨溝村で2007年5月、日本佐渡市で2008年9月に野生復帰のための放鳥を行いはじめ、現在、両地域では野生化で繁殖した個体を含めて120羽以上になりました。

トキ個体郡分散


蘇 雲山

【研究員紹介】

蘇 雲山(そ うんざん)

一般財団法人環境文化創造研究所 主席研究員 農学博士
北京林業大学と日本文理大学の客員教授
環境省トキ野生復帰検討会検討委員
環境省希少野生動植物種保存推進員
環境カウンセラー(市民部門)

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