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Thu

7/22

2021

カビ毒なぜなぜシリーズ(8)アフラトキシンの発がん性の指標(2)

 前号に続き、食品を汚染するカビ毒として代表的なアフラトキシン(AF)の発がん性を評価する際に主に用いられる数値モデルのふたつ目として「ベンチマークドース(BMD)法」をご紹介します。
 このモデルは、1995年にJECFA※1 がアクリルアミド(国内では数年前、炭水化物を多く含む高温加熱食品での毒性が話題)の発がん性を評価した際に採用した方法で、その後、他の国際リスク機関でも追随されるようになりました。
 BMD法では動物実験やヒトの疫学調査を基に、暴露がない状態と比べて、ある一定の割合で発がん率が増加する用量をX軸、発がん率(反応)をY軸として描かれた用量反応曲線が用いられます。たとえば、AFB1摂取で10%の動物(ヒト)が肝がんになる用量(BMDL10※2 )を求め、その値とAFの実際のヒトにおける摂取量との比から暴露マージン(暴露幅)を計算し、リスクを判断します。発がん物質においては、マージンが1万以上であればほぼ影響がないと考えられており、AFB1のラットでのBMDL10は170ng/kg体重/日、ヒトのBMDL10は870ng /kg体重/日と推定され、日本の暴露量は95%タイル(監視値の上位5%を除いた値全体の平均)で約0.003ng /kg体重/日ですので、暴露マージンは1万以上になることがおわかりいただけると思います。

※1 FAO/WHO 合同食品添加物専門家会議
※2 ベンチマーク用量信頼下限値

元国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部 部長・一般財団法人 環境文化創造研究所 顧問小西良子

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