イカリホールディングス株式会社 よりそい、つよく、ささえる。/環文研(Kanbunken)

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2025

世界のモグラたちの知られざる生態と魅力(3)

 「畑や庭にモグラがたくさんいるので、なんとかしてほしい」という依頼をたびたび受けます。でも本当にたくさんいるのでしょうか。モグラは縄張り意識がとても強い動物なので、狭い面積に多数の個体が密集することはありえません。彼らの主食はミミズなど地中の無脊椎動物で、一日に体重の半分ほど、かなりの量を食します。そのため縄張り内にほかの個体が入ると、活動するために十分な食事が摂れなくなるおそれがあることから、常に他の個体が自分の縄張りトンネルに入らないように注意しているのです。
 依頼してきた方から庭の写真を送ってもらうと、なるほど確かにモグラの生息痕であるモグラ塚が多数写っています。ただしこれらは複数の個体が作ったものではないと思います。一個体のモグラは、低く見積もっても100~300mのトンネル網で生活しているといわれており、各所に土捨て場であるモグラ塚を作ります。雨などの影響でトンネルが崩れてしまうと、モグラはどこかから土を運んできて穴をふさぐのですが、このときにもモグラ塚は形成されます。たくさん塚があるからといって、モグラがたくさんいるわけではないのです。「1つ捕まえればしばらくは落ち着くと思いますよ」と僕は回答します。でもモグラを捕まえるのは割合難しいようで、なかなか納得してもらえません。

国立科学博物館 動物研究部川田伸一郎

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