- 日替わりコラム
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6/23
2025
金沢八景駅の近く、平潟湾に面した場所には堤防が海に向かって伸び、その先端に小さな円形の島「琵琶島」があります。この島には「琵琶島神社」が祀られており(祭神:市杵島姫命(いちきしまひめのみこと))、静かで美しい景色が広がる場所です。
1180年(治承4年)、滋賀県の琵琶湖にある竹生島(ちくぶしま)弁才天を深く信仰していた北条政子は、夫・源頼朝が三島明神を勧請(かんじょう)※1 したことにならい、竹生島弁才天を勧請。島を築いて琵琶島神社を創建したと伝えられています。琵琶島神社は瀬戸神社の摂社とされ、瀬戸神社の主神である大山祇命(おおやまつのみこと)は、伊予国(愛媛県)大三島の大山祇神社、伊豆国(静岡県)三島大社の祭神と同神で、交通安全・旅行安全・商売繁盛の守護神として古来から信仰されています※2 。かつて、現在の泥亀から釜利谷(かまりや)東一帯は大きな入江で、平潟湾とは今の瀬戸橋あたりにあった細い海峡でつながっていたといわれています。この小さな海峡は、潮の満ち引きのたびに内海の海水が渦を巻いて出入りしていました。人々は、この激しい水流を「せと」と呼び、罪や穢(けが)れを洗い流してくれる神聖な場所と考えていました。そして、豊かな恵みをもたらす神々をここに祀ったのが、瀬戸神社の始まりとされています※ 。歌川広重の浮世絵「金沢八景」の一景である「瀬戸秋月(しゅうげつ)」は、この辺の夜景の美しさを描いたものです。
※1 仏教用語で、神仏の分身・分霊を他の地に移して祀ること
※2 金沢八景・瀬戸神社HP「由緒と祭神」https://www.setojinja.or.jp/yuisho.html
NPO法人 バイオメディカルサイエンス研究会 常任理事前川秀彰
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