イカリホールディングス株式会社 よりそい、つよく、ささえる。/環文研(Kanbunken)

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Wed

7/9

2025

素晴らしき生きものたち(19)人工物も快適空間

 暖かな春の日差しが降りそそぎ、体が「出かけようよ」とささやいてきます。不思議なものです。「春光に体むずむず野良仕事」と相成ります。毎日欠かさない私のルーティンは、近くの河川敷を愛犬と散歩することと家庭菜園です。そこで見る自然の姿は同じようで日々異なります。
 その日は2羽のミサゴが近くの山から飛んできて、川の上空を旋回していました。川では大きなすっぽんが泥を巻き上げながら水底を歩いていました。彼らも春光に体がむずむずしているのでしょうか。面白いのは、どちらも人里で人が作り上げた環境を巧みに利用していることです。ミサゴは大きな川の上空でホバリングして魚を探し、急降下して水面に飛び込み魚を捕まえます。狩りのポイントはいくつかありますが、効率がよいのは堰堤がある所のようです。そこに魚が群れているのを知っているのです。すっぽんは本流から外れた水底の泥のよどみを好みます。そのよどみの源流は汚水処理場の排水です。水温も高く、きっと有機物も多いので、快適なのでしょう。
 人工物が自然に馴染んだ環境をしっかり利用する。これが里地に暮らす野生動物の生活の知恵です。網の目のように張り巡らされた用水路は自然と融合し、鯉や鯰(なまず)の長年の生活の場となっています。そんな環境でも、夏には新しい命が育っていることでしょう。

富山市ファミリーパーク 名誉園長/元日本動物園水族館協会 会長山本茂行

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