- 日替わりコラム
Thu
7/10
2025
米国でPFAS※ (ピーファス)規制をする州が15に増え、新たに全面禁止とする州も出てきました。PFASは、テフロン加工のフライパンや防水ウェア、消火剤、化粧品など、多くの生活用品で使われています。しかし自然界ではほとんど分解せず、生物の体内に蓄積することから、「永遠の化学物質」と呼ばれる一方、環境破壊や発がん性を指摘する専門家もいます。
2025年4月、ニューメキシコ州では消費者製品への意図的なPFAS添加を全面的に禁止する法案を可決しました。同州のPFAS禁止令は、調理器具、食品包装、デンタルフロス、玩具製品などが対象で、2028年には繊維製品、化粧品、家具、洗浄剤などにも対象を拡大し、2029年にはPFASの使用を全面禁止とします。
PFASについては、日本でも東京・多摩地区の住民に対する血液検査(2023年)で高濃度のPFASが検出されるなど、汚染が広がっている状況が浮き彫りになりました。しかし政府の対応は鈍く、PFASの製造・販売を規制する法律や条例はありません。今後、行政レベルでも議論が続きますが、「何が起きるかわからない」ものに対しては予防的な行政措置が必要です。いわゆる「予防原則」であり、日本も迅速な対応が求められています。
※ 有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物を総称して「PFAS」と呼び、
1万種類以上の物質があるとされている
『オルタナ』前編集長森 摂
全部または一部を無断で複写複製することは、著作権法上での例外を除き、禁じられています
- アクセス