- 日替わりコラム
Tue
7/22
2025
現在、多くの企業ではフリーアドレス(個人の固定席を設けず、大きなテーブルなどに自由に着座位置を選択する働き方)やABW※ (さまざまな働く場所を用意して、ワーカーがその時々の業務内容に応じて場所を選択する働き方)が採用されています。しかしながら、なぜそれが必要なのか、何を目的にしているのか理解していないと生産性が上がりません。以上を説明するキーワードが、「弱い紐帯理論」と「2つのネットワーク理論」です。
弱い紐帯理論とは、たとえば週2回以上会うような強い紐帯の相手であれば、すでに自分が知っている情報を共有しているので、目新しさはありませんが、自分と弱い紐帯、すなわちたまにしか会わない人たちとのほうが、新たな情報の取得が期待でき重要であるという理論です。同様に、ネットワーク理論的には、大きく2つのネットワークがあります。1つは対話型ネットワークで、既知の人とのつながりをいいます。もう1つは集会型ネットワークで、自分とは異なる知識や経験を持っている見知らぬ人との出会いを指します。上述の弱い紐帯理論との関係からいうと、フリーアドレスやABWは、まさに弱い紐帯を作り出し、1つの組織(部や課)に閉じることなく、広く集会型なネットワークを構築するためのオフィスづくりであることが理解できます。
※ Activity Based Working
東京造形大学 名誉教授地主廣明
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