イカリホールディングス株式会社 よりそい、つよく、ささえる。/環文研(Kanbunken)

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8/11

2025

将来の食料確保に向けて(6)

 さて、これまで述べてきた内容を簡単にまとめてみましょう。
 第一に、世界人口が増加傾向にある中で、日本は少子高齢化が進展しています。第二に、現代の日本では就業者数の74%が第三次産業に従事し、第一次産業は3%に過ぎず、基幹的農業従事者は111万人、その8割が65歳以上です。第三に、過去半世紀にわたる日本の食生活欧米化の本質は、熱量ベースでいえば、コメが半減、代わりに油脂と畜産物で代替してきたことです。第四に、安全保障にはさまざまな次元があり、中でも食料では4要件(入手可能性・アクセス・活用・安定性)が広く共有された要件であることと、近年では「人間の安全保障」という概念が普及し始めたことが特徴です。第五に、新たに持続可能性と主体性(agency)という2要件が議論され始めています。
 さて、これまで私たちは可能な限り「合理的」な仕組みを構築するため、産地から消費地までの在庫を減らし、徹底的なスリム化と低価格化に邁進(まいしん)してきました。これは平時であればもっとも「効率的」ですが、張り詰めた糸は「遊び」がなく、外的変化への対応力も弱いという状況を、実は一人ひとりが感じ始めているのではないでしょうか。
 もう一度、本当に有事に強い仕組みとは何か、どこまでの「備え」が必要かを再考する必要がありそうです。

宮城大学 副学長 食産業学群 教授三石誠司

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