- 日替わりコラム
Wed
8/13
2025
江戸時代以降、猫たちは人々の生活圏を自由に歩き回って暮らすようになりました。飼い猫は家で餌をもらっていましたが、完全肉食動物である猫にとっては栄養が足りず、ネズミや小鳥などを捕って食べました。おかげで猫はネズミ退治をしてくれる生きものとして定着し、それは明治、大正、昭和の時代まで同様に続いたのでした。
そんな猫たちの暮らしが変わり始めたのは1980年代です。栄養バランスのよいペットフードが普及し始めたことで、猫の暮らしは劇的に変化したのです。栄養的に過不足のない食事は猫たちに狩りの必要性をなくし、その結果、狩りが下手な猫も生き延びるようになりました。またこの時期は、都会で自動車の数が増え、人々は猫の室内飼いを考え始めていたのですが、ペットフードの存在が室内飼いを可能にしたのです。こうして猫の室内飼いは普及し、徐々に定着していきました。そして、この室内飼いこそが、現代の猫の性格を形成した最大の要因になっているのです。
かつて猫は「自分勝手」だとか「我が道を行く独立独歩タイプ」といわれましたが、最近では多くの猫が「甘ったれで飼い主と一緒にいたがる」といわれます。ペットとしてはとても嬉しい変化ですが、一体どういうことなのでしょう。それは次回のお楽しみ。
動物ライター加藤由子
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