- 日替わりコラム
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8/15
2025
2011年の福島第一原子力発電所の事故がきっかけで、福島県などから全国に避難された方は9万人以上に上りました。前例である1986年に起こったチョルノービリ原子力発電所の事故とは条件が異なるため、手探りで支援を進めるしかありませんでした。子どもは大人より放射性物質の影響を受けやすく、直ちに影響は出ないといわれても、いずれはという不安はぬぐえません。避難親子の生活の再建を目指すとともに、子どもたちの健康を守る観点から、安心・安全な食材を使った料理教室やこども食堂にも需要が高まり、活動は多様化していきました。
避難生活が長期化する中で、支援している親子に発病が相次ぐ時期がありました。事故以来、福島県内では全県民対象の健康調査や子どもたちの甲状腺検査が毎年のように行われ、データは福島県立医科大学附属病院に一元化されています。一方、県外避難者のデータの一元化は、個人情報保護のため困難、かつ事故との因果関係の証明も難しいことがわかりました。期待の「原発事故子ども・被災者支援法」も、その支援対象地域を定めるのに1年以上かかり、理念法※ となってしまいました。
事故から14年、コロナ禍や物価高騰などさまざまな社会不安が続き、日本全体への支援が必要とされてきていますが、安心・安全な食で子どもたちの未来を守っていきたいと考えています。
※ ある事柄に関する基本理念を定め、具体的な規制や罰則については特に規定していない法律
NPO法人 こどもプロジェクト 代表福田恵美
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