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Wed

8/20

2025

日本の牧場ではクマネズミと肉食動物が共存している

 ネズミは、街だけでなく畜産現場(家畜牧場)にもいることを多くの人が実感していました。しかし、彼らの生態は不明のままでした。そこで本研究※ では、日本のある家畜牧場でネズミの活動パターンを調査しました。
 2021年8月から10月にかけて、牛舎と豚舎にカメラトラップを設置したところクマネズミが観察され、ドブネズミやハツカネズミは観察されませんでした。また肉食動物としては、イヌ、ネコ、イタチが確認されました。そこで彼らの活動パターンを解析したところ、クマネズミはどちらの舎とも夜間に活動しており、肉食動物の活動パターンとの重なりは中程度から高程度でした。つまり、クマネズミは肉食動物を避けるために活動パターンを変えていませんでした。これは、ドブネズミがネコの活動パターンと重ならないように自身の活動パターンを大きく変化させることとは、異なるものでした。この理由として、クマネズミが梁や桁の上にいることが挙げられます。クマネズミは肉食動物が梁や桁の上まで登って来られないのを理解しているため、地上に肉食動物がいても気にしないと考えられます。
 今後、これらの知見を活かして効果的なネズミ対策を行っていくことで、家畜の健康とウェルフェアが向上していくことを願っています。

※  Koizumi, R., Endo, T., Tanikawa, T., Hirata, S. and Kiyokawa, Y., Coexistence of roof
rats and carnivores in barns on a livestock farm in Japan, Animal Science Journal, 95 e13982(2024), https://doi.org/10.1111/asj.13982

東京大学 大学院農学生命科学研究科 准教授清川泰志

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