- 日替わりコラム
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9/8
2025
今回は、著者が日本企業(IOS株式会社)と共にカンボジアで行っている、サボテンを使った地雷原復興事業について紹介します。
1970年頃から20年以上続いた内戦の間に、カンボジアには400~600万個以上の地雷が敷設されました。現在も地雷の除去が進められていますが、地雷を除去した土地の有効活用が課題となっています。地雷原跡地が広く分布する農村部には収益性の高い産業が少なく、住民の生活水準は都市部に比べて低くなっています。
そこで著者らは、サボテンの産業利用を目指した栽培試験を2022年に開始しました。生産したサボテンは野菜や果実、家畜飼料、加工品原料などとして利用される予定ですが、同時にカーボンオフセット事業も進めています。つまり、サボテンを使って二酸化炭素を吸収し、その吸収量を取引することで利益を生み出すビジネスモデルの構築を目指しています。
このプロジェクトを通じて得られた成果の1つは、サボテンが乾燥地だけではなく、カンボジアのような雨の多い地域でも旺盛に育つとわかったことです。なんと、田んぼの跡地のような湿潤な場所でも枯れることなく育ちました。サボテンの驚異的な生命力は、地球温暖化の緩和にも貢献し、将来の私たちの生活を支えるようになるかもしれません。
中部大学 応用生物学部堀部貴紀
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