- 日替わりコラム
Wed
9/24
2025
興行場、百貨店、店舗、事務所、学校などの用途に使われる建築物は「特定建築物」と定義されており、その所有者や占有者には「建築物環境衛生管理基準」に基づく維持管理が義務づけられています。さらに、これらの建築物には「建築物環境衛生管理技術者」を配置し、維持管理の監督を行わせることが求められています。維持管理を行う事業者は、都道府県知事の登録を受けることが可能です。
特定建築物の条件は、特定用途に使用される延べ面積が3000m²以上(小・中学校などは8000m²以上)とされています。これら特定建築物では、IPM(総合的有害生物管理)の普及により、ねずみや衛生害虫の管理状況はおおむね良好に保たれています。一方で、特定建築物に満たない延べ面積2000m²以上3000m²未満の中規模ビルでは、管理状況が不十分なケースが多く見られます。現状では行政の指導にとどまっていますが、将来的には管理基準の見直しが期待されています。維持管理を担う人材不足がこれからの検討課題です。
人材不足の解消や衛生管理の質の向上には、デジタル技術の導入も有効です。しかし、生物を対象とする管理においては困難な面も多く、さらに夜間や休日の対応などの課題もあります。現場の実情を踏まえた柔軟な運用が求められます。
イカリ消毒株式会社 名誉技術顧問谷川力
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