- 日替わりコラム
Mon
10/6
2025
「コーヒーバッジング」とはアメリカの企業が生み出した造語で、コーヒーを飲むためだけに数時間出社して(その間、ちょっとした会議や打合せをこなして)帰宅し、仕事は自宅で行うワークスタイルを指します。同社がオフィス勤務と在宅勤務を組み合わせて働くハイブリッドワーカーに尋ねたところ、半数以上が「職場には顔だけ見せて帰る」スタイルが好きだと回答したことが背景にあるようです。興味深いのはこのスタイルを好むのは20代から40代で、これより上の世代は職場で過ごすことを好むという、世代間の働き方の嗜好の違いです。
もちろん、コーヒーバッジングには賛否両論があります。問題なのは、上記のジェネレーションギャップに見られるように、組織には、在宅で集中して作業する方が生産性が高い人もいれば、むしろ周りに同僚がいて、その場の空気を共有した方がアイデアが生まれ、一人で沈思黙考するより生産性が高まる人もいるということです。これらの働き方の嗜好を一括りにして、機械的にオフィス勤務と在宅勤務を組み合わせたハイブリッドワークに一元化すると、本末転倒な結果を招きかねません。
ハイブリッドワークが定着しつつある一方で、オフィス勤務へ回帰する企業も少なくありません。今一度、ワーカー一人ひとりの働き方の嗜好に注目する必要があるのではと思います。
東京造形大学 名誉教授地主廣明
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