- 日替わりコラム
Thu
10/23
2025
厚生労働省は今年1月、全国で認知症と診断された家族130人を対象に調査を行いました。それによると、認知症の症状が現れてから認知症と診断されるまでの期間は平均で約1年、そして認知症と診断されてからデイサービスなどの介護保険サービスを利用するまでの期間は、平均で1年3か月ほどであることがわかりました。
このような何もしない空白期間が長くなると、症状がさらに進行して家族の負担がより重くなるおそれがありますが、この空白期間が生じる要因としては、医療機関や家族の対応が挙げられるといいます。診断後に薬を処方するだけで、介護保険サービスなどの必要な情報を十分に伝えていない医療機関もあるようです。病院は薬などの医療的な提供だけではなく、地域のネットワークを活用し、社会的・福祉的なアプローチも考えていく必要があるでしょう。
一方、家族は、まだ支援は必要ないと判断したり、希望する介護サービスがなかったり、あるいは情報提供がなく、どのような支援が受けられるのかわからないなどといった問題があることも指摘されています。
昨年、国は認知症基本計画をまとめ、認知症になっても希望を持って生きられる社会を目指す「新しい認知症観」を掲げています。今後は、より迅速かつ的確な介護サービスの提供が望まれます。
介護福祉士中村和彦
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