イカリホールディングス株式会社 よりそい、つよく、ささえる。/環文研(Kanbunken)

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Wed

12/10

2025

薬草に親しむ(8)クズ

 東京都薬用植物園で栽培しているクズを紹介します。つる性の多年草で、原産地は日本、中国、朝鮮半島です。7月中旬から9月中旬にかけて、ブドウのような香りがする紫赤色の花を咲かせます。花は葉に隠れるように咲きますが、よく見ると多くの花が咲いているのがわかります。ただし、果実はあまり多くできません。薬用部位は花と根です。生薬名で花は「カッカ」と呼ばれ、めまい、二日酔いの漢方薬に用いられます。根は「カッコン」と呼び、発汗、解熱、鎮痙の漢方として用いられます。漢方処方の代表的なものに「葛根湯」があります。風邪のひき始めに服用される葛根湯は、クズの根以外に、マオウの地上茎(生薬名マオウ)、ナツメの果実(生薬名タイソウ)、ケイヒの樹皮(生薬名ケイヒ)、シャクヤクの根(生薬名シャクヤク)、カンゾウの根およびストロン(生薬名カンゾウ)、ショウガの根茎(生薬名ショウキョウ)が用いられます。
 また、クズの根から採れるデンプンは「葛粉」と呼ばれます。葛粉を湯で溶かしたものが葛湯、熱を加えて溶かし固めると葛餅となります。このように食用としても用いられる秋の七草の一つです。クズの葉は、夏の日差しが強いときに閉じます。これを「クズのお昼寝」といいます。マメ科の植物であるため、夜も葉を閉じています。クズという名は、大和国吉野の国栖(くず)という地名に由来するとされています。

東京都薬用植物園 主任研究員中村耕

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