- 日替わりコラム
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2026
日本の食料自給率が4割に満たないことは、よく知られています。それでも、これまでそれほど大きな危機が生じなかった理由の一つは、主食のコメがほぼ100%国内で自給できていたからです。
コロナ禍で小麦や大豆などの輸入農産物価格が上昇した時期でも、コメの価格は低いままでした。これは多くの国民が安価に主食を調達できていた証です。ところが、「令和のコメ騒動」と呼ばれる事態が起き、人々のコメに対する認識が変わりつつあります。消費者の多くは、未来永劫「安いコメ」が食べられると思っていたのに、生産・流通を含むコメをめぐる環境が激変したからです。
「足りなければ買えばよい」「国内になければ輸入すればよい」という考え方がうまく機能するためには、世界が平穏であり、海外の生産地にも十分な輸出余力があり、その上で貿易に何の障害もないことが大前提です。そうでなければ遠隔地から「モノ」は届きません。
ここで私たちは重要な判断を迫られています。安全保障としての「食」と自由貿易としての「食」、どちらを重視するかという問題です。うまく折り合いをつけるのが理想ですが、気候変動や地政学的リスクを踏まえ、持続可能な食料生産という観点から、コメと食全体について改めて考えてみる必要がありそうです。
宮城大学 副学長 食産業学群 教授三石誠司
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