- 日替わりコラム
Wed
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2026
ネズミにとってネコは、古くから「天敵」として知られています。これは街中に限った話ではなく、実験室で生まれ育ったラットでさえ、ネコの匂いや気配には強い警戒を示します。ラットは、野生型のドブネズミが実験室に持ち込まれてから、120年以上も実験室内だけで暮らし、親や祖父母も含めてネコと出会ったことはありません。ネコを怖がるという性質が遺伝子に刻まれているのでしょう。
そんなネコとネズミの関係ですが、現代の都会でもネコはネズミを狩っているのでしょうか。アメリカ・ボルチモア市の住宅街で、野良ネコがどのようなサイズのドブネズミを狙うのかを調査しました。研究者は約2年間にわたり、夜間に車の中から912時間も観察を続け、ネコが捕まえたネズミの死骸を集めて分析しました。その結果、ネコが狩るのは主に体重100g未満のネズミであり、もっとも大きなネズミでも体重は200g未満であることがわかりました。実際、ネコと大きなネズミが至近距離で対面しても、お互いに無関心な様子だったそうです。さらに、ネコの多くは人から餌をもらっており、ネズミを食べる必要のない生活をしていることもわかりました。都会におけるネコとネズミの関係は意外にも穏やかで、狩りは限られた条件下でのみ行われているようです。
東京大学 大学院農学生命科学研究科 准教授清川泰志
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