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2026
食品衛生法では、第2章第6条4項で「喫食した際に健康を損なうおそれがあるもの」の販売を禁止していますが、「異物の定義」などについての文言はありません。一見すると不合理のようにも思えますが、法律で異物を限定的に定義してしまうと、記載されていない物質はすべて異物ではないことになってしまうため、むしろ当然ともいえます。
異物混入事故が発生した際、行政が原因究明や再発防止について立ち入り指導をするのは、金属片や硬質プラスチックなど、健康を損なうおそれのある、一般に「危険異物」とされるものが中心です。しかし一方で、消費者から寄せられる異物混入苦情で件数が多いのは、頭髪や体毛などの毛髪です。毛髪の危害性については議論があり、体調不良が起きるのは誤食が明らかになった場合に限られ、心理的要素が大きいとされています。そして、毛髪混入事案の大半は、消費者と販売者(製造者)との協議で解決が図られ、行政指導となることはまれです。つまり、毛髪の混入は国が関与すべき衛生管理というより、主に品質管理の課題として扱われているということになります。
事業者は、法律上の考えや定義にかかわらず、消費者が「異物」として申告してきたものはすべて「異物」として受け止め、迅速に再発防止策を講じることが重要です。
公益社団法人 日本食品衛生協会 技術参与佐藤邦裕
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