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2026
2022年から2023年にかけて、国内74か所の養鶏場で高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)が発生しました。卵用・肉用鶏合わせて1700万羽以上が殺処分され、養鶏業は深刻な被害を受けました。HPAIは2004年、京丹波町の養鶏場で国内では79年ぶりに流行し(殺処分数は580万羽)、以降もほぼ毎年のように発生しています。その被害は養鶏業にとどまらず、ハヤブサやツルなどの絶滅危惧種の感染死、アニマルウェルフェアへの配慮不足や殺処分従事者の精神的負担など、影響は多方面に及んでいます。
HPAIウイルスは、渡り鳥である水禽類によって海外から運ばれることが知られていますが、国内の湖沼や河川からどのように鶏舎に侵入するのか、その経路はいまだ不明です。2004年の京丹波町の流行時には、農場周辺(半径500~2000m)で採集されたクロバエ類から高率でHPAIウイルス遺伝子が検出され、その一部は活性をもつウイルスでした。さらに、クロバエ体内でウイルスの活性が最高で48時間は維持されることもわかり、近隣の養鶏場へのウイルスの拡散にクロバエ類が関与した可能性が示唆されました。一方、鶏舎にはクロバエ類だけでなく、ネズミやスズメなどさまざまな動物が侵入していることも確認されており、ウイルスの伝搬機構の解明が急がれます。
東京大学 大学院 農学生命科学研究科澤邉京子
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