- 日替わりコラム
Wed
2/11
2026
野生動物は、オトナになると威嚇や恋鳴き※ 以外で鳴くことはありません。子どもの頃の鳴き声は、親に「ここにいる」と知らせるための手段です。「お腹がすいた」「寒い」など親の世話を求めて鳴くのです。ところが猫はオトナになってからも鳴きます。人との暮らしが長く続いたせいで、面倒をみてもらうことが習性になっているからです。麻布大学の研究では「猫たちだけのときには鳴かないのに、人が顔を見せると一斉に鳴く」ことが確認されています。猫がいかに人に対して子猫のような気持ちで依存しているかということであり、猫は家畜化の過程で人に甘え、かわいがってもらう生き方をするように進化したといえるのです。
ただ、よく鳴く猫とあまり鳴かない猫がいるのも確かで、個人的にはよく鳴く猫はオスに多いと思っていました。オスのほうが甘ったれなのだと勝手に結論づけていたのですが今年、京都大学の研究グループが「鳴く遺伝子があり、それは雑種猫のオスに多い」という論文を発表しました。血統猫は鳴かずとも面倒をみてもらえるから発達しなかったのだろうと考察していますが、だとしたら人類が雑種のオスをないがしろにした歴史があるのかもしれません。
たかが猫、されど猫——、猫の世界は実に奥が深いと改めて感じています。
※ 動物が繁殖期にパートナーを求めて発する特有の鳴き声
動物ライター加藤由子
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