- 日替わりコラム
Wed
3/4
2026
私たちは初対面の人と話すとき、たとえば相手が自分と同じ仕事をしていたり、共通の趣味を持っていたりすると、ふっと距離が縮まったように感じることがあります。逆に、考え方や関心が大きく異なるとわかると、無意識のうちに身構えてしまうこともあるでしょう。こうした反応は偶然ではなく、私たちが相手を「どのような集団に属する人なのか」という手がかりをもとに、その人との関わり方を自然と調整していることを示しています。
そしてラットも、相手が所属している集団によって行動を変えることが明らかになってきました。また、私たちの以前の研究により、雄のラットは自身と遺伝的に近い系統※1 のラットとより多く交流することがわかりました。さまざまな社会行動は雌雄で違うことが知られていますが、本研究※2 では、雌のラットが見知らぬ相手にどう振る舞うかを調べてみました。その結果、雌ラットは自分と遺伝的に近いかどうかではなく、初めて出会う系統のラットとよく交流を持つことが明らかになりました。これらの結果から、ラットが見知らぬ相手に対して示す行動も、雌雄で違いがあることがわかりました。つまり、雄のラットは自分と似た特徴を持つラットを、雌のラットはより目新しいタイプのラットを選ぶことが考えられました。
※ 1 ヒトで言えば人種、イヌで言えば犬種のようなもので、同じラットでも遺伝的に異なる小集団のこと※ 2 Y. Ippongi.,et al, Rats show qualitative sex differences in interaction preferences among unfamiliar same-sex conspecifics, Behav Processes 233:105298(2025) https://doi.org/10.1016/j.beproc.2025.105298
東京大学 大学院農学生命科学研究科 准教授清川泰志
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