- 日替わりコラム
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4/10
2026
18世紀にリンネは著書『自然の体系』で二名法を提唱し、生物の分類方法を整理しました。これは、生物の外観を調べて似た形の生物のグループを作る方法です(形態分類学)。
19世紀にダーウィンは進化論を提唱し、すべての生物は共通祖先から進化してきたことを示しました。生物間の形の違いをたくさん集めて、進化の過程でどの順番に分岐してきたのかを推定しました(系統分類学)。さらに20世紀には、メンデル遺伝の仕組みや、遺伝情報はDNAに含まれる4種類の塩基で作られることが明らかになりました。これによりDNAの塩基配列を比較して生物の系統関係を推定することが可能になりました(分子系統学)。
分子系統学の観点から生物の関係を見直すと、従来の常識が覆ることもあります。たとえば、従来の分類では、クジラは鯨目(げいもく)に※1 、カバは偶蹄目(ぐうていもく)(ウシやブタなどと同じグループ)に分類されていました。しかし、DNAを調べると、カバは偶蹄目のほかの動物よりも、むしろクジラと遺伝的に近いことがわかったのです。カバとクジラの共通祖先である陸上動物が水中に適応してクジラへ進化し、陸に残ったものがカバに進化したと考えられます。その結果、鯨目と偶蹄目に分かれていた動物たちは新しく作られた鯨偶蹄目(げいぐうていもく)※2 という一つの目にまとめられました。
※1 「くじらもく」と読まれることもある
※2 「くじらぐうていもく」と読まれることもある
東京大学 大学院 農学生命科学研究科澤邉京子
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