- 日替わりコラム
Wed
5/6
2026
国際化(internationalization)とグローバル化(globalization)の違いを明確に理解している人は意外に少ないのではないでしょうか。前者は大前提として国や地域という存在を認めた上で、人・モノ・カネ・情報などが他国間を自由に行き交うことを意味します。一方、後者は基本、最初から国や地域という存在を除き、いわば世界全体を一つの市場として見ています。背後には「最適化」という考えが垣間見えます。
さて、現代社会には現実に国や地域の存在をほぼ意識せずにやりとり可能なツールが安価で整備されつつあります。たとえば、オンライン決済、レシピ共有、多国籍フードデリバリーなどが典型的な例です。グローバル化が行きつく先は情報が即座に共有され、ウソがすぐに露呈するという側面を持つ点も重要な特徴です。では、地球全体での最適化の結果は、食に何をもたらすでしょうか。
世界各地、そして国内各地での微妙な差異は、長い時間の中で習慣化し、食文化にまで昇華してきました。思考実験として、これらがすべて同じになると考えれば、食文化とグローバル化がどこで対立するかがよくわかります。もちろん、そこまで到達するには時間がかかります。ですが、世界中どこで食べても同じ味や注文の仕組みを望むのか、違いを当然と考えるか、そこがこの問題の分岐点ではないでしょうか。
実践女子大学 食科学部 教授三石誠司
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