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5/20

2026

繭を守護する番兵と化すテントウムシ

 テントウムシは寄生された後、やがてハチの繭を守る番兵のような役割を果たします。しかし、繭を守ることはテントウムシ自身には何の利益ももたらしません。
 テントウハラボソコマユバチの幼虫はテントウムシの成虫体内で育ち、蛹化のため体外へ出ると、寄主の脚の間に繭をかけ、寄主はそれに覆いかぶさるように留まります。番兵期の寄主は移動も摂食もせず、繭の直上で刺激に反応して小刻みに震え、威嚇し続けます。これによりクサカゲロウ幼虫などの捕食者を追い払い、繭の被食率を下げます。室内実験では、番兵つきの繭は単独の繭よりも生存率が高まることが示されています。この現象は「ボディガード化」と呼ばれます。また、同様の操作様式は鱗翅類(りんしるい)幼虫に寄生する寄生蜂でも知られており、寄生者による延長された表現型の一例として注目されています。
 一方で、この守りに資源を割く分、羽化したハチの成熟卵数が減るなどの「代償」も計測されています。番兵期間が長いほど、その傾向は強まります。興味深いのは、寄生が終わった後に一部のテントウムシが回復し、摂食や交尾、産卵などの元の生活に戻れる例があることです。寄生蜂による捕食寄生関係における例外中の例外といえます。甲虫の成虫に寄生できるのも、寄生蜂としては極めて珍しい習性です。

参考文献:
Maure F., Brodeur J., Ponlet N., Doyon J., Firlej A., Elguero E. & Thomas F.(2011) Biology Letters, 7: 843–846.
Maure F., Daoust S.P., Brodeur J., Mitta G. & Thomas F. (2013) Journal of Experimental Biology, 216: 36–42.

九州大学 大学院 理学研究院 助教髙須賀圭三

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