- 日替わりコラム
Thu
8/13
2026
今回は、東京都薬用植物園で栽培しているエビスグサをご紹介します。当園では、民間薬原料植物区で育てています。エビスグサはマメ科の一年草で、熱帯アメリカを原産地とする植物です。日本へは江戸時代に中国を経由して伝わったとされ、現在でも生薬原料の多くは中国などから輸入されています。
7月上旬から9月下旬頃にかけて、鮮やかな黄色の花を咲かせます。花の後には細長い豆果が実り、やがて褐色に熟します。さやはやや弓なりに曲がり、先端が下を向くのが特徴です。一つのさやには30粒前後の種子が入っています。この種子は「決明子(ケツメイシ)」という生薬名で知られ、『日本薬局方』にも収載されています。古くから便通を整える目的で利用されてきたほか、炒った種子は「ハブ茶」として親しまれてきました。香ばしく飲みやすいことから、現在でも健康茶として利用されています。なお、「決明」という名称には「目を明るくする」という意味があり、中国の伝統医学では目の疲れや充血を和らげる目的でも用いられてきました。
さらに、植物に害を与える線虫の増殖を抑える効果が知られており、土壌改良植物として利用されています。また、植物全体を土に鋤き込んで肥料とする「緑肥」としても活用されています。
東京都薬用植物園 主任研究員中村耕
全部または一部を無断で複写複製することは、著作権法上での例外を除き、禁じられています
- アクセス