イカリホールディングス株式会社 よりそい、つよく、ささえる。/環文研(Kanbunken)

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6/13

2025

食中毒を正しい知識で正しく怖がる

 2024年の食中毒統計※ によると、アニサキス(330件)、ノロウイルス(276件)、カンピロバクター(208件)の3つで病因物質のおよそ8割を占めています。患者数は、アニサキス(337名)、ノロウイルス(8656名)、カンピロバクター(1199名)となっています。一件当たりの患者数は、アニサキス(1名)、ノロウイルス(31名)、カンピロバクター(6名)です。食中毒全体でみると、患者の6割以上がノロウイルスによるものです。ノロウイルスの食中毒は嘔吐・下痢などの一過性の胃腸炎症状であるのに対して、発生率は少ないものの、アニサキスではアニサキスアレルギーが、カンピロバクターではギラン・バレー症候群の後遺症が知られています。アニサキスアレルギーでは加熱したアニサキス成分にもアレルギー反応を起こすため、その後の食生活に大きな影響を及ぼします。
 カンピロバクターによるギラン・バレー症候群では、重症化し四肢に麻痺が残った40代男性に1億円の損害賠償金が支払われた事例も報告されています。食中毒を防止するためには、肉・魚・野菜などの原材料をよく洗浄するとともに、加熱調理して喫食することが原則です。特に鶏肉にはカンピロバクターが高率に付着していますので、生食や加熱不足は非常にリスクが高いことを理解してください。

※ 第3回厚生科学審議会食品衛生監視部会配付資料「資料1-2 令和6年食中毒発生状況」

元保健所食品衛生監視員小暮実

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