- 日替わりコラム
Mon
5/4
2026
製造現場における安全管理や異物混入対策を語る際、必ず取り上げられるのが「5S管理」です。整理・整頓・清潔・清掃・躾(習慣づけ)からなる日本発祥の取組みで、それこそ耳にタコができるほど聞き慣れていると思います。しかし、実際にどこまで実践できているかを改めて問われると、考えさせられる場面も少なくありません。
たとえば、机上にあるはずの定規が見つからず、作業が滞った経験はないでしょうか。探すために時間を取られ、「日頃の整理・整頓が大切だ」と実感する瞬間です。しかし、職場における5Sの本来の目的は、紛失そのものを防ぐことではなく、「紛失の事実にいち早く気づくこと」にあります。昨日まであったものがない——その異常にすぐ気づけなければ、紛失した工具や備品が製品に紛れ込み、異物としてお客様のもとへ届いてしまうおそれがあります。実際、連絡を受けて初めて紛失を認識するケースも少なくありません。
対策として有効なのが、予備品を現場に置きすぎないことです。紛失すれば作業が止まるため、即座に気づけます。しかし効率優先の現場では、小型工具や備品が過剰に配置されがちです。その安心感こそが発見の遅れを招きます。5Sは効率化だけでなく、異常に気づく力を高める管理手法であることを意識したいものです。
公益社団法人 日本食品衛生協会 技術参与佐藤邦裕
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