Kanbunken 環境文化創造研究所

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2020

食品にまつわるトラブルから学ぶ(22)宅配寿司にネズミの糞

 ある家族が宅配専門店の寿司を食べているとき、子どもが口から黒くて硬い物を取り出しました。父親はネズミの糞ではないかと考えて店に連絡しましたが、はっきりとした説明は得られませんでした。その3日後に子どもが下痢をしたため、不安になった父親は保健所に届け出ました。
 黒い異物を拡大観察すると、多数の毛が混在し、毛にはネズミ特有の毛小皮(キューティクル)と毛髄が確認されたため、異物はネズミの糞であると判断されました。店舗調査時の従業員は施設内でネズミは見かけないと話していましたが、実際にはラットサイン※ があちらこちらに認められました。しかも、施設内の食器や調理器具類はむき出しで保管され、全体的に整理・整頓と清掃が不十分なことは明らかでした。
 このような状況から、苦情原因となったネズミの糞は、シャリロボット上にあったものが寿司飯に混入したものと推察されました。
 幸いにも本事例では大事には至りませんでしたが、不衛生な食品が継続して販売されていたことは食中毒発生の重大な危険性をはらんでいました。食品の宅配専門店については、消費者が店舗施設や食品の取扱い状況などを見て店を選ぶということができません。消費者の目には届かないところにおいてこそ、営業者はその責任の重大性を認識して食品の衛生管理をしっかりと実践していただきたいと思います。

※ ネズミが残した痕跡のこと。糞や尿の跡、かじった跡、決まって通る道などにより確認できる

元東京都杉並保健所 食品衛生監視員谷口力夫

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