- 日替わりコラム
Fri
1/1
2021
皆さま、新年明けましておめでとうございます。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。毎年のことながら、新年のスタートには、昨年の反省や今年への希望をこめて、たくさんの祈りが捧げられます。
私たち人間は、心を表に現すことのできる、言葉という「呪(しゅ)」の力をそなえもっております。これは、他の生き物には与えられていない、天から授かった特別な力です。「呪」と聞きますと、人を「呪(のろ)う」など悪いイメージしかないかと思いますが、「呪文(じゅもん)」や「神呪(じんしゅ)」という言葉がありますように、実は、災(さい)を払い、禍(か)を除く「真言(しんごん)(仏のまことば)」の意があるのです。私たち僧侶も、毎日この「呪」をお唱えして、仏に祈りを捧げ、皆さまの日々の安寧や、多幸をご祈念申し上げております。
しかし、「呪」という祈りの力には、「善呪(ぜんしゅ)」と「悪呪(あくしゅ)」の2つがあることも事実で、人の「祝(しゅく)(幸せ)」を実現させるためには、善呪の願力が必要となります。人を幸せにする善呪となるか、人を不幸にする悪呪となるかもまた、私たちの「心と言葉」次第ということになります。
人が最初に受ける「呪」は、名前だと言われます。父母から授かった大切なこの命にかけられた善呪です。コロナ禍にあり、まだまだ、命の心配や日々の暮らしへの不安が拭えない今だからこそ、人を幸せにする祈りの力を強く信じて、一日一日を生きていきたいものです。
合掌
下野薬師寺別院 舎那殿壇 龍興寺 副住職阿波建多
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