Kanbunken 環境文化創造研究所

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2021

クサギカメムシの一斉孵化(ふか)に隠された秘密

 カメムシの多くは、しばしば大量発生する大害虫です。クサギカメムシもそのひとつで、マツやスギなどで繁殖し、ミカンやウメ、大豆やササゲなどを食害します。成虫で越冬し、しばしば屋内にも侵入する嫌われ者です。最近では北米にも侵入し、海外でも警戒されています。
 クサギカメムシは一度にまとめて約28個の卵を植物上に産み、その卵塊(らんかい)から幼虫が一斉に孵化します。卵殻(らんかく)の一部が蓋のようになっていて、幼虫はそれを開いて出てきます。蓋が開くときに振動が発せられ、その振動が隣接する卵に伝わって、ほかの卵も一斉に孵化するのです。ですから、卵同士が接していることが重要であるといわれています※1 。
 しかし最近、その卵が、振動を発するずっと前から周りの卵からのシグナルを受信して、最終的な孵化のタイミングを図っていることがわかってきました。また、卵殻の蓋が開くときに発せられる振動は、卵同士が接していなくても、卵が産みつけられる葉や木の皮を通して伝達され、一斉孵化が起こるのではないかと考えられる証拠も出てきました。卵を数センチメートル離し、紙やコルク板上に貼り付けた状態でも、卵同士が接していた場合と同じくらい揃って孵化することが観察されたのです※2 。クサギカメムシには、まだまだ不思議なことが隠されているようです。

※1 Endo, J. et al.(2019) Current Biology 29: 143-148.
※2 Tanaka, S., Kotaki, T. 2020. Entomological Science doi: 10.1111/ens.12439

元農林水産省 蚕糸・昆虫農業技術研究所 研究室長田中誠二

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