Kanbunken 環境文化創造研究所

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Wed

3/3

2021

春に招く桃の節供(せっく)

 弥生、旧暦3月ともなればもう春です。梅や水仙(すいせん)、万作(まんさく)や蠟梅(ろうばい)に続いて、次々と花々が咲きます。その中でも色彩が艶やかなのは、なんといっても花桃(はなもも)でしょう。桃の節供にはお雛様に添えて花桃を飾り、蓬(よもぎ)の草餅を供え、白酒で娘たちの成長を祝います。
 神話では桃の木は鬼を見張り、果実は鬼神をも退散させます。昔話の桃太郎の鬼退治の旗印は桃の果実です。桃が仙木であるのは、その花が陽気で明るく、果実も仙果と呼ばれるほど栄養価や薬功があるからです。桃という字の兆は、種子を宿す仁核がふたつに割れる様(さま)で、吉凶を占う兆しと見ることができます。中国では隔絶された山中の理想郷を「桃源郷」と呼び、桃花の流れる水を飲んで300歳の長命を得たとの伝説があり、そこから延命を願う桃花水、桃花酒が生まれ、さらに日本に伝わってから、娘たちの健やかな成長と長命を願う白酒に転化しました。
 草餅は、蓬の若芽を餅に練り込んで作ります。蓬にも魔除けの力があると信じられています。香りが強く、早春の野菜不足を補う栄養と薬功もあります。菱餅(ひしもち)は菱の実を児の魂として模したのだそうです。
 桃の節供は農耕生活の大切な節目の時期にあり、終日遊び暮らして、五穀豊穣を願ったのが本来の意味です。過剰に便利な暮らしを省みて、自然に感謝し家族が寄り添って、遊び暮らす一日も大切です。

東京学芸大学 名誉教授・植物と人々の博物館 研究員木俣美樹男

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