Kanbunken 環境文化創造研究所

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2021

飛翔のための翅を自分で落とす昆虫

 地球で最も繁栄している生物は昆虫です。その理由のひとつが、翅の進化だといわれています。小さな昆虫は飛翔することで生活圏を劇的に拡大し、効率的に敵から逃れる手段を獲得できたのです。
 ところが、そんな便利な翅を自ら取り除いてしまう昆虫が現れました。結婚飛行を終えたアリやシロアリは、その後、巣の中で生活するので、不要になった翅を捨てるのは理解できます。しかし、ヒメコガタコオロギ、スズムシ、シバスズ、そしてアブラムシなどは巣にこもったりしないにもかかわらず、成虫になってしばらくすると翅を落としてしまいます。ちょうど秋に紅葉した葉が簡単に枝から落ちるように、これらの昆虫の後翅も簡単に取れてしまいます。これはなぜでしょうか。
 実験的に、ヒメコガタコオロギの成虫の後翅を切除すると、飛翔筋は退化してしまいました。溶解した筋肉は、雌では養分として卵生産に使われ、雄では交尾時に雌に渡す精子を入れる精包を作るための付属腺の発達に使われます。
 これらの昆虫は、成虫になって翅を使って移動する時期と移動を止めて繁殖に専念する時期をはっきり区別しているのです。飛翔して新天地を見つけると移動手段を捨て、すべてのエネルギーを繁殖に傾ける効率的な生き方に進化したと考えられます。

参考文献:Tanaka, S.(1999)Entomological Science 2(3): 315―327.

元農林水産省 蚕糸・昆虫農業技術研究所 研究室長田中誠二

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