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2021

カビ毒なぜなぜシリーズ(5)アフラトキシンの発がん性メカニズム

 アスペルギルス属のカビが産生するアフラトキシンは、世界最強の発がん物質といわれています。これは、アフラトキシンがDNAに直接作用して変異を起こす遺伝毒性発がん物質であるためです。
 食品を汚染するアフラトキシンには4種類※1 あり、中でもAFB1が最も発がん性が強く、その構造が大きく関与しています。AFB1はビスフランとクマリン骨格にシクロペンタノンが結合した5つの環からできていますが、C-8、9の間に二重結合があり、肝臓で酵素分解される際にこの二重結合がエポキシドという不安定な構造に変化します。エポキシドは他の化合物と結合する力が非常に強く、短い時間でタンパク質やDNAの塩基に結合します。DNAに結合した場合、遺伝子が改変されて発がん性を持つのです。さらに、この遺伝子変異はがん抑制遺伝子にも起こり、抑制物質の産生に影響を及ぼしてがん抑制が働かなくなるため、より発がん性が増長されます。AFB1と同様にAFG1もエポキシドを生成しますが、AFB1ほど毒性は強くありません※2 。
 一方、AFB2とAFG2はC-8、9の間に二重結合がないため、エポキシドはできず、発がん性はほとんどないと考えられますが、一部の動物においてAFB1やAFG1に転換する可能性が否定できないことから、4つのアフラトキシンは総アフラトキシンとして規制されています。

※1 アフラトキシンB1(AFB1)、AFB2、AFG1、AFG2
※2 シクロペンタノンではなく6 員環ラクトンを有する

元国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部 部長・一般財団法人 環境文化創造研究所 顧問小西良子

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