- 日替わりコラム
Tue
6/1
2021
筑波大学らの研究グループは、ゆっくりとしたペースのウォーキングやヨガのような超低強度運動を10分間行うと、その直後に記憶力が向上することを初めて実証しました。運動することで脳の記憶に関わる海馬の活動が活発になり、人間の記憶システム全体の質が向上することが、最先端の機能的MRI技術によって証明されたということです。この研究成果は、米国科学アカデミー発行の科学誌『PNAS※ 』にも掲載されました。
超低強度運動とは、最大酸素摂取量の37%以下の強度、心拍数は若齢者で1分当たり約100拍以下、高齢者で約90拍以下で、主観的にはかなり楽だと感じる程度の運動を指します。
これまで成人の脳では再生しないと考えられてきた神経細胞が、脳の限られた領域で再生できることが他の実験でも確認されています。今後は、認知症予防を見据えた軽運動プログラムの開発が期待できます。
また、運動後に記憶力を高められることから、これらの軽運動プログラムは学生や社会人、研究者などの間でも幅広く活用されるようになることでしょう。コロナ禍で散歩を控えている方は、10分だけ歩いてみてはいかがでしょうか。体力づくりだけではなく、記憶力向上のためと思って歩いてみてください。
※ Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
介護問題研究家中村和彦
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