Kanbunken 環境文化創造研究所

DAILY COLUMN

- 日替わりコラム

Wed

6/9

2021

柔軟性のある昆虫の季節適応

 有能でハイテクな機能を備えた私たち人類が猛暑や大雨、冷害、暖冬などの異常気象に苦しめられている一方、自然界に棲む昆虫たちは、カレンダーもないのになんとかうまく生活しているように思えます。なぜでしょうか。
 トノサマバッタの成虫は、関東地方では6月と8月に現れます。6月の成虫は速やかに性成熟して産卵し、3週間あまりで卵から幼虫が孵化(ふか)してきます。一方、8月に現れる2世代目の成虫はすぐには卵を産みません。彼らの産む卵は休眠して越冬するので、あまり早く産卵すると残暑によって孵化してしまう危険があるからです。秋に孵化した幼虫は、成虫になれたとしても冬前に産卵することができません。ですから、夏の暑い間は性成熟を遅らせ、涼しくなってくる秋に一斉に産卵し始める仕組みが出来上がっているのです。
 すなわち、夏の長い日長(にっちょう)下では性成熟を遅らせ、日長が短くなる秋に速やかに産卵する光周反応を進化させたのです。日長は年変動がありませんので、それだけに頼ると、冷夏や猛暑の夏が到来した年は影響を受けます。そんなときに備えて、温度に対しても絶妙な反応を示します。性成熟は長日と高温下で著しく遅れ、短日と低温下では急速に進むのです。こうしてトノサマバッタは柔軟に子孫を残すことができるのです。

参考文献: Tanaka S., Hakomori T., Hasegawa E. (1993) Journal of Insect Physiology 30(7): 571―580.

元農林水産省 蚕糸・昆虫農業技術研究所 研究室長田中誠二

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