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Thu

8/19

2021

「全然できる」と言ってよいか

 「全然」という言葉を使って例文を作るという問題に、「全然できます」、「全然同じ」などと答えたら誤りだと言われるかもしれません。多くの辞書は「全然」の使い方について、基本的に否定や打消しの表現と組み合わせて用いると説明しています。たとえば、「全然だめだ」、「全然変わらない」のように使うのが一般的だとされてきました。
 しかし、最近の研究では、この考え方は戦後定着したものだとみなされるようになっています。実際、過去の有名な作家たちの文章には、否定的表現を伴わずに「全然」が使われる場合がありました。たとえば、夏目漱石の『趣味の遺伝』には「マクベスの門番は山寺のカッポレと全然同格である」、太宰治の『鷗(かもめ)』には「きっと在るのだ。全然新しいものが、そこに在るのだ」といった表現が見られます。これらの「全然」は、「すっかり」、「非常に」といった意味で使われています。森鷗外や芥川龍之介も同様の書き方をすることがありました。
 「全然おいしい」などの言い方は若者言葉のひとつとみなされるなど、これまで多くの辞書は、否定的表現を伴わない用法を「俗用」、「誤用」などとしてきました。しかし、新たに改訂された際には、否定を伴わない使い方にも言及するようになっています。こうした言い方をむやみに用いるのは考えものですが、誤りとまでは言えないでしょう。

文化庁国語課 国語調査官武田康宏

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