Kanbunken 環境文化創造研究所

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2021

展覧会に出かけると(17)81年前の行列

 昭和15年(1940)11月5日から24日まで、東京の上野公園は長蛇の列で溢れていました。帝室博物館(現東京国立博物館)開催の「正倉院御物特別展観」へ向かう人々が西郷さんの銅像の辺りから続き、20日間の会期中の入場者数は41万人以上の盛況でした。
 81年前のこの展覧会の様子を伝える絵巻※1 があり、観覧者の行列が蛇(くちなわ)のようであることから『くちなわ物語』と命名されています。正倉院での宝物の点検・梱包、輸送、展覧会に押し寄せる人々、群衆に混乱しつつも対応の術を体得していく職員、神妙に拝観する人々、終了後の輸送と返納までが描かれています。1940年は神武天皇即位紀元2600年であり、展覧会はその記念として奈良以外で初めて一般公開されたものでした。蛇の姿から、時代の大きな波が見えるようです。
 毎年、奈良国立博物館で開催される「正倉院展」は、第2次世界大戦後まもなく行われるようになったもので、コロナ禍以前の近年の入場者は毎年10万人以上でした。同館のピロティ※2 に敷かれた赤いカーペットに静かに並ぶ人々の行列が思い出されます。
 大規模な展覧会から行列が消えて2年目になりました。展覧会は時代を映します。今、行列のない展覧会へ出かけると、パンデミックによるこうした変化の今後についても考えさせられます。

※1 『正倉院御物展観絵巻 くちなわ物語』野間清六筆、東京国立博物館所蔵。
  『よみがえる国宝』九州国立博物館展覧会図録(2011)202〜209 頁に掲載
※2 柱だけで建物を支えることで、1階部分を自由に通り抜けられるようにする建築形式、またはその部分。
  フランス語で「杭(くい)」を意味する言葉から派生した建築用語

放送大学 客員教授・九州国立博物館 名誉館員・一般財団法人 環境文化創造研究所 顧問本田光子

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