Kanbunken 環境文化創造研究所

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12/3

2021

展覧会に出かけると(18)たからを守り継ぐいとなみ

 一昨年から全国各地を巡回している展覧会、『よみがえる正倉院宝物―再現模造にみる天平の技―』は、宮内庁正倉院事務所製作の再現模造作品の中から選りすぐりの逸品を一堂に集めた展覧会です。先月、北海道会場が閉会し、来年1月下旬からは東京六本木会場で開催されます。
 正倉院宝物の模造製作は、明治時代に博覧会を契機に始まり、当初は宝物の修理のために材料や技法を調べる目的で行われていました。昭和47年からは宝物の材料や技法、構造の忠実な再現に重点をおいて製作されるようになり、詳細な調査研究に基づき、人間国宝ら伝統技術保持者の熟練の技により再現された作品となりました。模造というとプラスティックのレプリカが思い浮かぶかもしれませんが、外観だけを似せたそれらとは区別するため、再現模造と呼ばれているのです。
 再現模造は、経年劣化により脆弱な宝物に代わって展示に用いられるため、また、不慮の被災への対策として宝物に万が一のことがあればその代わりとなるものとして製作されていますが、同時にその製作を通して伝統技術そのものの伝承が行われるものでもあります。文化財の再現模造製作は、有形無形のたからを守り継ぐいとなみに他ならないのです。
 そして、美や技に対する観覧者の感動や共感も、展覧会の存在自体もまた、たからを守り継ぐいとなみの輪につながっていることに気づきます。

放送大学 客員教授・九州国立博物館 名誉館員・一般財団法人 環境文化創造研究所 顧問本田光子

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