Kanbunken 環境文化創造研究所

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12/20

2021

「より」と「から」の使い分け

 「京都"より"東京の交通費は高い」。多くの人は「京都に比べて東京のほうが交通費は高い」と読むでしょう。けれど、違う解釈もあります。
 「より」には〈比較〉の意味があり、「会議の時間は午前"より"午後がよい」、「社長"より"副社長のほうが若い」などと使われます。しかし、比較のほか、時間や場所などの〈起点〉を示す「から」と同じように、「会議は午前"より"午後まで行われた」、「社長"より"副社長にお褒めの言葉があった」といった使われ方をすることがあります。「京都より東京の交通費は高い」の「より」を起点の意味で捉えると、「京都から東京までの交通費は高額だ」とも解釈できてしまうのです。
 こうした誤解を避けるために、法令や公用文書には、「より」を比較に限定して使うという原則があります。起点を示す場合には「午前から午後まで」、「社長から副社長に」と「から」を用います。
 ただし、「から」を避ける文化もあります。伝統芸能や演劇の世界などでは、興行が始まる日などを表すのに「○月○日から」を用いないといいます。これは「から」が「(客が)空っぽ」に通ずるためで、代わりに「より」が使われます。
 事情は少し複雑ですが、誤解を避けることを第一にしつつ、場面や相手に応じて「より」と「から」を使い分けてみましょう。

文化庁国語課 国語調査官武田康宏

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