Kanbunken 環境文化創造研究所

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Thu

4/7

2022

恐ろしいチョウ、ゴマシジミ

 チョウといえば菜食家で、成虫は美しい翅をもち、優雅に花を訪れる昆虫というイメージです。ゴマシジミの成虫も、花から蜜を吸って寄主植物に産卵します。若齢期の幼虫は花や実を食べるのですが、終齢期に達すると、なんとアリの巣に潜伏して肉食に変貌します。
 ヨーロッパに棲むゴマシジミの一種は、終齢幼虫になると地面に降りてアリの巣に連れ帰ってもらうのを待ちます。働きアリは通常、自分たち以外の生きものは餌か敵として認識し、攻撃します。そこでこのチョウの幼虫の体表物質を調べたところ、アリの幼虫とよく似ていることがわかりました※1 。これは「化学擬態」と呼ばれ、相手の生物と似た物質を作ることによって、騙して利益を得るという戦略です。仲間のアリでも死ぬと捨てられてしまうくらいなので、体表物質以外に動きや出す音なども擬態しているのかもしれません。
 実際に、このチョウの幼虫と蛹は、女王アリの発するものに似た音、または振動を出すことが知られており、働きアリの気を引いて特別な世話を受けている可能性があります。チョウの幼虫はアリから口移しで食物をもらいますが、アリの幼虫や蛹も食べることもあるというのですから、恐るべき寄生昆虫です。最近の研究では、日本のゴマシジミも同様に、興味深いアリとの関係性をもっていることが明らかにされています※2 。

※1 Akino, T. et al.( 1999) Proc. R. Soc. B 266, 1419―1426.
※2 『アリの社会:小さな虫の大きな知恵』坂本洋典ら著 東海大学出版部(2015)

元農林水産省 蚕糸・昆虫農業技術研究所 研究室長田中誠二

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