- 日替わりコラム
Mon
4/11
2022
ある利用者が、たこ焼き専門店でお土産1パックを購入し、自宅で小学生の子どもと一緒に食べ始めました。すると子どもが、口から黒くて硬い異物を吐き出しました。幸いにも子どもにケガや体調不良はありませんでしたが、金属片のように見える異物に不安を覚えた利用者は、たこ焼きの残りを保健所に届け出ました。
異物は厚さ2mm、大きさ8mm×5mm程度の不定形で、錆びた鉄のような黒色のものでしたが、磁石には吸着しませんでした。
当該店舗に赴いて、実際のたこ焼きの製造・販売方法を確認したところ、異物混入の原因はすぐに判明しました。たこ焼き台の銅製の天板は全体が焦げて黒ずみ、無数の引っかき傷も認められました。特に天板の縁部分には蓄積された焼け焦げが塊となって付着し、その一部はひび割れて剥がれ落ちており、これが製品中に混入したものと考えられました。
銅製の調理器具は、熱伝導性に優れており、食材をムラなく加熱できる特性があります。しかし、銅は柔らかい素材なので、硬い調理器具や金属タワシなどで傷がつくと、焼きムラや焦げ付き、緑青発生の原因にもなります。また、ソースなど酸性の液体が銅板と触れて食品中に銅が溶出すると、急性銅中毒を発症する場合もあります。日々使用する調理器具の素材や特性をよく理解して、清潔かつ安全に活用したいものです。
公益社団法人 日本食品衛生協会 技術参与・一般社団法人 関東学校給食サービス協会 顧問谷口力夫
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