- 日替わりコラム
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7/29
2022
「食べ飽き現象」とは、同じものを食べ続けたために飽きてしまう現象のことです。
ゴキブリ駆除には、ベイト剤という食毒剤を利用することがあります。ベイト剤は、ゴキブリが食べて初めて効果を現しますが、ベイト剤を与えているにもかかわらず死亡しない現象がみられたり、まったく食べない個体の増加が生じたりすることがしばしば起こります。これらは食べ飽き現象だといわれることがありますが、それとは異なります。
まず、この現象は生理的抵抗性と行動的抵抗性に分かれます。生理的抵抗性とは殺虫成分に抵抗性をもち、食べても死なない個体が増える現象のことです。具体的には、Aという薬剤を使い続けるとAに抵抗性をもったゴキブリが生き残り、増えてしまいます。こうなると、いくらAという薬剤を使い続けても効果はありません。この場合には、Bという薬剤に変えてみるのもひとつの方法です。次に、行動的抵抗性とは、Cという餌成分が嫌いなため、食べない現象のことです。具体的には、糖を混ぜたベイト剤はほとんどのゴキブリに有効ですが、それを続けると糖が嫌いなゴキブリが生き残り、それが繁殖を繰り返して、ついには糖入りの餌を食べない集団が出てきます。ちなみに、その糖を食べないゴキブリは、ほかの糖類も食べなくなりました。
イカリ消毒株式会社 取締役・一般財団法人 環境文化創造研究所 評議員谷川力
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