Kanbunken 環境文化創造研究所

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2022

ウミガメに寄生するアニサキスの仲間

 アニサキスという寄生虫をご存知の方は多いのではないでしょうか。線虫の仲間で、サバなどの魚介類に寄生した幼虫が食中毒の原因になることで有名です。成虫はクジラ類に寄生します。実は、このアニサキスにはたくさんの仲間がいます。ここでは、変わったアニサキスの仲間について紹介したいと思います。
 サルカスカリス(Sulcascaris)はアニサキスの仲間のひとつで、成虫はウミガメの消化管に寄生します。太平洋と大西洋の両方に広く分布し、日本にも記録があります。幼虫は、貝の仲間に寄生します。貝の体内である程度成長し、ウミガメに食べられるとその体内で成虫になるのです。サルカスカリスの幼虫は、ホタテ貝類やムール貝類といった食用貝にも寄生しますが、これまでのところサルカスカリスによる人への健康被害は報告されていません。しかし、貝の可食部の見た目が悪くなって商品価値が下がることから、水産業界では問題になることがあります。
 一方、サルカスカリスの成虫は、ウミガメに潰瘍性消化器炎を起こすことが報告されています。これは、アニサキスの成虫が、宿主のクジラ類に健康被害をほとんど与えないこととは対照的です。現在、食品衛生やウミガメ保全の観点から、サルカスカリスについての研究が盛んに行われています。

公益財団法人 目黒寄生虫館 研究員佐田直也

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