ストレス社会を心穏やかに生きる(94)ひとりじゃない

　8月(旧暦では7月)13日から16日までのお盆には、多くの精霊(しょうりょう)が3泊4日の里帰りをなされます。この1年の間に、49日(満中陰(まんちゅういん))をもって成仏された御魂(みたま)にとっては、仏界から初めての、お盆の里帰りとなられますし、今年、初盆の御魂をお迎えする皆様にとられましては、大切な方をなくされた、悲しみや寂しさ、辛いお気持ちを抱(いだ)かれながらお迎えする、初めてのご供養となられます。
　當山(とうざん)龍興寺では、毎年、初盆のお迎えをなされます多くのご家族様とご一緒に、合同供養を厳修(ごんしゅう)申し上げております。参列の各ご家族皆様は、それぞれ初対面ということになりますが、ご供養の際、本尊正面に掛けた『阿弥陀如来二十五菩薩来送迎図(あみだにょらいにじゅうごぼさつらいそうげいず) 』を前にして、皆様にお伝えいたしておりますことは、「ひとりじゃない」ということです。
　「本日、ここに、ご参集いただいております皆様は、この1年の間に同じ悲しみを受けられたご家族様であり、仏の世界におもむかれた大切なご家族様の御魂も、同じ本尊にご守護いただいております、言わば、仏の世界のお仲間なのです。御魂もひとり寂しくお戻りになるわけではなく、多くの仏様とお仲間に囲まれながら帰って来られるのです」と。
　悲しみや寂しさと向き合う時、一番辛いのはひとりでいることです。「ひとりじゃない」ということを、どうか忘れないでください。

合掌

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