Kanbunken 環境文化創造研究所

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Thu

8/18

2022

良い爪痕(つめあと)、悪い爪痕

 最近、スポーツや芸能関係の記事に「爪痕を残す」という言葉がよく用いられています。「爪痕」は、「爪でついたきずあと」のこと。転じて、強い印象を与えたり目立ったりすることを「爪痕を残す」と表現するのです。
 次に挙げるのは、ネットニュースの用例です。「日の丸を背負い、世界に爪痕を残すと活躍を誓う○○選手」。「(俳優の○○は)そのあたりから、話題作で鍵となる人物を演じて爪痕を残すようになった」。「研ぎ澄ました歌声で人々の心に爪痕を残すことをテーマに結成された女性ボーカルグループ、○○」。
 ところが、実はこのような用法を認めている辞書はまだありません。『広辞苑第七版』で「爪痕」を引くと「比喩的に、事件・災害が残した被害や影響」とあります。『明鏡国語辞典第三版』には、「存在感や好成績を残す意で使うのは、本来は誤り」という説明も見られます。
 たしかに、地震や台風、また戦争などを扱った記事で用いられる「爪痕」は、「震災の爪痕を残す学び舎」、「砲撃が人々の心に残した爪痕」など、被害の痕跡や悪い影響を示します。良い意味で使う「爪痕を残す」は、今後も着実に広がっていくことが予想されますが、現時点では、誤解を招かないよう注意する必要もあるでしょう。

文化庁国語課 主任国語調査官武田康宏

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