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Thu

10/20

2022

誌上でめぐる世界の恐竜化石(8)アルゼンチン

 2020年3月、私はアルゼンチン・パタゴニア地方南部にいました。白亜紀最末期である約8000万年~6600万年前の地層から、南アメリカの最後の恐竜たちの化石を発見するためです。
 その時に発掘された肉食恐竜が新種であることがわかり、2022年5月に論文が発表され、「マイプ・マクロソラックス」という名前がつけられました。
 マイプとはパタゴニア地方の伝説に登場する悪霊の名前で、冷たい風で人々を凍え死にさせると言い伝えられているそうです。マクロは「大きな」、ソラックスは「胴体」を意味します。断片的な化石ですが、全長は9m以上、体重5t、胴体の幅が1.2mと推定されるがっしりとした体のつくりをしており、白亜紀最末期の南半球では最大級の肉食恐竜だったと考えられます。
 同じ頃の北半球では、北アメリカの食物連鎖の頂点にはティラノサウルス、アジアではタルボサウルスがいました。どちらもティラノサウルス類の肉食恐竜です。ティラノサウルス類が進出しなかった南半球では、マイプのようなメガラプトル類という別のグループがその座を占めていたようです。マイプは最大級のメガラプトル類で、メガラプトル類の中でも最後の種だったかもしれません。

独立行政法人 国立科学博物館 副館長・研究調整役真鍋真

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