- 日替わりコラム
Tue
12/13
2022
新型コロナウイルス感染症の流行により日常生活で身近になったマスクですが、その起源をご存知でしょうか。一説によるとマスクの起源は紀元前1世紀まで遡り、ローマの鉱山で働く労働者を酸化鉛の塵から守るために、ヤギの膀胱を利用したのが始まりとされています。
ハロウィンの仮装などでカラスの嘴(くちばし)のような仮面を見かけますが、これは「ペストマスク」と呼ばれるれっきとしたマスクです。14世紀から17世紀にかけてペストがヨーロッパで猛威をふるいましたが、当時は瘴気(しょうき)※ がペストを引き起こすと考えられており、効果はさておき、嘴部分には瘴気よけとしてローズやミント、ユーカリなど大量のハーブが詰められていたそうです。
日本で最古のマスクは、江戸時代(1860年頃)に医師の宮太柱(みやた(い)ちゅう)が石見(いわみ)銀山で働く鉱夫の鉱山病を防ぐために考案した「福面(ふくめん)」といわれています。「覆面」の「覆」の字を縁起の良い「福」に代えて、「福面」と呼んだそうです。大正時代には、工場内で粉塵よけとして着用されていました。その後、1918年のスペイン風邪の大流行をきっかけに感染予防品として注目を集めるようになり、最近では医療用に用いられるN95マスクや新型コロナウイルス感染症に有効な不織布マスクが開発され、需要が増えたそうです。
※ 熱病を起こすとされる山や川の毒気
公益財団法人 日本建築衛生管理教育センター 調査研究部 研究情報課杉山順一
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