- 日替わりコラム
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2/7
2023
2024年度の介護保険の制度改正で、介護費の伸びを抑えるために、財務省などが要介護1と2の高齢者への訪問介護、通所介護(デイサービス)を市町村の「総合事業」へ移すという構想が持ち上がっています。これは、現状の全国一律の介護給付から市町村が独自に決められる「総合事業」に切り替えることでサービスの内容や量を抑えていこうというもので、「要介護1と2の保険外し」ともいわれています。
5段階ある要介護度の中で、要介護1と2の高齢者は自宅生活が多く、デイサービスや訪問介護などの介護サービスを頼りにしているのが現状です。こうした高齢者が軽度者と見なされ、専門職のいる介護サービスが減少すると、低コストの地域のボランティアを活用するか在宅で家族が介護する時間を増やすしかありません。また、総合事業はサービスへの報酬が安く抑えられやすく、ただでさえ経営的に苦しい訪問介護、デイサービスの事業者が大きなダメージを受けるのは避けられないでしょう。そこで、介護サービスの事業者や専門職らで組織する多くの団体が、今回の構想に強く反対する要望書を厚生労働省へ提出しました※ 。
在宅介護には、専門的なサービスが欠かせません。厚生労働省の審議会でも「ボランティアの活用などの人員配置では弱い」、「かえって重度化を招く」、「自立支援の考え方に逆行する」といった声が上がっています。
※ これらの意見を踏まえ、厚生労働省は慎重に検討する姿勢を示している(2022年12月1日現在)
介護福祉士中村和彦
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