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Wed

5/17

2023

人生永遠のテーマを追った作家 向田邦子(2)巨匠・深町幸男監督との初仕事

 昭和51年2月から53年の6月までの間、向田邦子さんは地域情報誌『銀座百点』に随筆の連載をしていました。これはその後、『父の詫び状』という題名で単行本になります。この随筆は大好評で、ドラマ化の権利を巡って、NHKと民放各局はさまざまな好条件を提示して、向田邦子さんにアプローチをかけました。しかし、随筆の内容が自身の子ども時代の家庭の回想が中心であったために、向田邦子さんの母親は頑(かたく)なにドラマ化を断り続けました。
 実はこのアプローチをした1人に、NHKの深町幸男がいました。向田さんとの仕事を模索していた深町は、向田さんとの新企画の話し合いの中でこう言います。「向田さん、『父の詫び状』が無理ならば、それと似たようなお話をひとつ書いていただけませんか」。この時から、家庭を舞台とし、かつ『ドラマ人間模様※ 』シリーズにふさわしいヒューマンドラマへの模索が始まります。
 そうして立案されたのが、向田邦子さんの後半生の傑作と謳(うた)われる『あ・うん』でした。企画当時は、まだ仮題で『狛犬(こまいぬ)』という題名でした。昭和初期の山の手を舞台にしたドラマで、製薬会社勤務の水田仙吉、親友の実業家・門倉修造、水田の妻たみと娘のさと子、門倉の妻の君子。この5人のプラトニックな心の葛藤を描くドラマでした。

※  昭和51年4月から昭和63年3月にかけてNHK 総合で放送されたドラマ枠。社会や人間の断片を切り取り、人生を深い視点で捉えるヒューマンドラマが多い

写真技術研究所別所就治

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