- 日替わりコラム
Wed
5/31
2023
ネズミの捕獲に粘着トラップが使われ始めたのは、昭和40年代になってからです。あまり知られてはいませんが、その先駆者はイカリ消毒株式会社です。2代目社長・黒澤聡樹が、東南アジアで木を登るネズミが樹液で動けなくなっているのを見たことが大きなヒントとなって開発されたネズミ捕りシート「チュークリン」は、半世紀以上経った現在でも使用され続けています。
粘着トラップが開発される前は、餌を仕込んでネズミをおびき寄せて捕獲する金網カゴや圧殺式捕獲器(パチンコ)が一般的であり、ネズミの手づかみも当たり前に行われていました。手づかみの方法は、ネズミの侵入口を見つけたら、ネズミに気づかれないようそこに先回りします。そして、その侵入口とは逆側から別の人が急に照明をつけ、大声を出しながらネズミを追い立てます。するとネズミは驚き、侵入口を目がけて逃げていきます。それを1匹1匹手づかみ、もしくは漁網を利用して捕らえるのです。多いときにはバケツ一杯捕獲することもあり、これが話題を呼んでマスコミなどに取り上げられたこともあります。
しかし黒澤聡樹は、この方法をPCO(ペストコントロール業)として恥ずかしい方法だと認識していました。その強い思いが、「チュークリン」の開発と普及の原動力になったのだと思います。
イカリ消毒株式会社 取締役谷川力
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